ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅
『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』[HD]映画予告編 - YouTube
今すぐ家族に会いたくなる、そんな映画。
華やかな印象のハリウッド映画からは程遠い、野暮ったいアメリカを強烈なジョークで包み込む。劇場で笑い声が抑えられないほどだった。
映画の舞台、ネブラスカ。広大な大地のなか牧場で栄えた地に、北海道と東北が重なる。
「百万ドルが当たりました!」という詐欺まがいのハガキを信じる田舎の老人と、
まぎらわしい広告に何の罪悪感も見せない都会のホワイトカラーの構図は、日本の今を思わせる。
監督のアレクサンダー・ペインは小津安二郎の大ファンらしく、現代の映画なのにモノクロ撮影なのはリスペクトの証とも聞いた。
理由なく支えあう関係は、どの国の家族も一緒なのだろう。
父と息子の旅物語だが、私は強烈で口うるさい母親にオスカーをあげたい。
手紙の愛
沖縄のおじさんが亡くなった。91歳だった。
今思えば、生まれてから祖父のいなかった私にとって、おじいちゃんのぬくもりは彼から知った気がする。
季節の折には必ず便りをくれた。私のたわい無い報告にも一つ一つ褒めてくれ、サッカーを始めたことを知ると「沖縄の代表校が決まったぞ」とわざわざ教えてくれたりと、何かにつけては手紙を送ってくれた(私はその時北海道に住んでいたのだがw)
私の名前を大変気に入ってくれていたようで、おじさんの孫の名前が、いわゆる「キラキラネーム」なこともあってか、事あるごとに「男らしいいい名前をつけたなあ」と私の母に嬉しそうにこぼしていたそうだ。
数年前の年賀状が出てきた。直筆がもつぬくもりは、その人の人柄、書いている風景やにおいまで伝わってくるようだ。正直言って字は汚いのだが、汚い字を母と一緒に解読していた日を思い出すと、なんだか寂しくなった。
なんでも可能にするデジタルの時代。いつでもどこでも繋がれても、手紙が残す愛の力には敵わない。
わたしたちは忘れやすい生き物です。
ふたたびの東北。
今回は、陸前高田と気仙沼にお邪魔した。
やはり、ボランティアの数は減ってきており、今回も定員40人のところ、参加者は16名。JTBのツアーであったが、「赤字でやってるんですよね~」と添乗員さんが冗談半分に嘆いていた。
しかし、今でも参加をする人たちは、意思を持った方が多い。
何十回と参加しているという方もいれば、会社経営のおじさまや75歳で初参加のおじいちゃん、おばあちゃん。
自分で飛行機を乗り継いで参加した方も多く、福岡から1人で上京してきたギャルや、
会社仲間で岡山から参加したという男女4人組など。
まさにボランティアオールスターズといった感じで、
当初、陸前高田市が200人のボランティアが必要だと見積っていた区域のガレキ除去・側溝の泥出しをこの16名で2日で成し遂げてしまった。
前にも書いたが、「東北」や「ボランティア」といったキーワードで、日本全国からこれだけ幅広い背景の人が集い、同じベクトルを向いて活動できることは、実にすばらしいことだ。
今回は、気仙沼のホテルに泊まり、意気投合したおじさまと復興屋台村で飲み歩いた。
スナックのおばちゃんたちが、「うちは5人流されたかな~」、「うぢは3人で済んだよ~」と、付き合った人の数を言い合うようなテンションで話していたのが印象的であった。
震災から約2年が経とうとしている。
なんとなく、もう大丈夫だろうという感じが世の中を覆い、私たちは、いい意味でも、悪い意味でもあの日の事を忘れかけてきている。たしかに、いつまでも落ち込んでいてはいけない。だが、前向きに生きることと、あの日の経験を忘れてしまうことは意味が違う。わたしたちは、多くの犠牲を払って得た教訓を後世まで伝えていかなければならない。