チャラ盛りの君たちへ

日々、嫁を口説くために神楽坂の名店を探し続ける旦那のブログ。

兄さん、助けて詐欺

なんとも煮え切らない出来事があった。

自転車での帰り道。向こうから来たおじいちゃんに突然声を掛けられた。大変困った様子で、聞くと、財布をなくしたとのこと。300円ほど貸してもらえれば登戸まで帰れるらしい。「ご住所を教えて頂ければ、必ずお返しします」とも。

うーむ、声を掛ける人間なら他にもいよう。チャラめの帽子をかぶり、ぱっと見、若者風(自称)の私になぜ声を掛ける。第一、自転車で走る人を選ぶ理由が分からない。もし私なら、歩いている人を選ぶだろう。

これは新手の詐欺か。オレオレ詐欺に痺れを切らし始めた老人たちが繰り広げる、「兄さん、助けて詐欺」ではなかろうか。住所を聞き出した若者には、親切心に漬け込み、募金や寄付と言い張って金をせしめ、怪しいと思った頃には架空の住所だったことに気付く。。。

ただ、彼の身なりはいたって普通であった。いや、普通というより気品がある。見た感じ、仕立ての良い紺色のコートを身にまとい、背筋も年の割にピンと伸びている。傘を手にしているところを見ると、天気予報を気にして家を出た様子が伝わってくる。

彼の様子を見ても、恥ずかしさと申し訳ない様子が表情に出ていた。300円で無下にするのも悪かろうと思い、私はすんなり彼に現金を渡した。

住所は教えなかった。
「恩に着ます」という心からの一言で十分であった。

…にしても、あそこで住所を教えていたらどうなっていたのだろうか。

いや、いかんいかん。彼は本当に困っていたのだ。気持ちいいままに終わらせておこう。でも、なぜ自転車の私を選んだのか。。うーん、煮え切らない。